にのだん社会保険労務士事務所

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にのだん社会保険労務士事務所だより「たすき」令和3年4月号(No.17)

【新しい年度を迎えた時の思い出】             

4月から新しい場所で就学または就職や転職される方につきましては誠におめでとうございます。新しい生活のスタートは誰もが期待と不安が入り混じった緊張感を感じるかもしれません。しかし、この転換期は人生の中で大きなチャンスになるかもしれないというプラス思考をぜひとも持っていただければと感じます。ところで私にとって新年度のスタートとして思い出すのは、大学に進学するために初めて親元を離れて大阪で一人暮らしを始めた時です。楽しさはありましたが、どちらかというと寂しさのほうが強かったです。そして同じ関西と言っても話し方の違い、そして何よりも人の多さに圧倒されたスタートでした。アルバイトは一人暮らしを始めてからすぐに近くの居酒屋で開始しましたが、怒られることに慣れていなかったせいか2日で辞め、その後は梅田のカラオケ屋で“キャッチ”と呼ばれている阪急東通り商店街でチラシを配り、興味のあるお客さんを店に連れていき注文を受けたドリンクや食べ物を部屋に持っていく仕事をしました。終電以降も仕事が続き、始発帰りとなるとさすがに学校に行けなくなり、半年働いてから辞めました。その後は大学卒業まで近くのコンビニでアルバイトを続けましたが、シフトで朝まで勤務しているときに「阪神淡路大震災」を体験し、食べ物や日用品を販売する仕事は近隣で生活している人たちにとって欠かせないものであるということを強く感じたこともあり、卒業後は和歌山に戻り、新年度より地元の食品スーパーに就職しました。今から思えば恥ずかしい思い出ですが入社前研修の案内で服装は普段着と書かれていたので、同期入社する友人に「会社にどんな服装で行ったら良いか聞いて」とお願いしたところ「普段着ている格好で良い」と言われたので二人で「私服」で行ったところ周りはみんなスーツを着ており、世間知らずの場違いぶりのスタートとなりました。学生時代のアルバイトとは違って、仕事は長時間、自由に休みもとれなかったので本当にしんどかったですが、実力主義で比較的早い年齢で店長職を経験させてもらいながら約8年勤務させていただきました。自身にとって新しい年度は大きな転換期ではありましたが、やはりどちらかというと良い思い出より辛い思い出のほうが多かったかもしれません。しかし、今となれば人生の中で重要な通過点であり、「あの時があったから今がある」という印象が強いです。あれから私は、持続性がないせいか職を転々としましたが、それらの経験と積み重ねが現在の社会保険労務士としての仕事に繋がっているのは間違いないと感じます。

【従業員さんに関する手続きプラスアルファ】

春は仕事を始められる方の手続きはもちろんのこと、退職される方の手続きも同時にあり非常に煩雑となります。雇用保険・健康保険・厚生年金保険の手続きに関して日付等注意しなければならないポイントを人事労務担当者さん向けに少しでもお伝えできればと思います。

【その1】令和3年3月31日に退職される方の場合、雇用保険被保険者資格喪失届に記入する離職等年月日は令和3年3月31日となりますが、健康保険厚生年金被保険者資格喪失届に記入する喪失年月日は令和3年4月1日となるので注意が必要です。※その他参考として厚生年金は最大70歳まで健康保険は75歳まで加入が可能ですが、それぞれの年齢に達した場合は退職でなくても厚年の資格喪失届・健保の資格喪失届の提出は必要であり、70歳喪失の場合、日付は70歳誕生日前日、75歳喪失の場合、日付は75歳誕生日となるので注意が必要です。

【その2】健康保険の被扶養者であった方が春を契機に就職等により扶養から外れる場合は健康保険被扶養者異動届(削除)の手続きが必要となり、被扶養者でなくなった日は就職された日となります。※その他参考として扶養者さんが死亡された場合、被扶養者でなくなった日は死亡日の翌日、また離婚が理由の場合、被扶養者でなくなった日は離婚日当日となりますので日付の誤りが発生しないよう注意が必要です。

【その3】厚生年金被保険者である従業員さんが65歳を迎えられた場合、誕生日が令和3年4月1日であれば前日の3月31日で国民年金第2号被保険者とはならない厚生年金被保険者(一部例外あり)に変わります。そしてその方に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者がいれば、3月31日付で国民年金第3号被保険者でなくなります。(第3号被保険者は第2号被保険者に扶養されている配偶者という要件があるため)よって3月31日付で第1号被保険者に種別変更する手続きを本人が市町村の窓口で行う必要があります。(健康保険の扶養は継続のため事業所さんの手続きは不要です)注意すべきはこの手続きを忘れると、誤った国民年金記録のままになり、年金請求時の記録補正、さらに2年以上遡れば老齢基礎年金の減額にも繋がる恐れがあります。

【その4】2ヵ月以上勤めていた従業員さんが退職された場合、健康保険については任意継続被保険者になるか市町村で国民健康保険に加入するかどちらかの選択になります。任意継続の保険料は、本人が負担していた保険料に事業主負担を加えた合計を本人が最長2年間加入して払い続けるかたちになるので、国保との比較のためにもなるべく早く従業員さんに任意継続になった場合の保険料を伝えてください。なお任意継続の手続きは喪失日から20日以内と期限が決まっているので注意が必要です。さらに退職後、再就職せずに国民年金第1号被保険者になる場合は離職票の写しを添付した国民年金保険料を免除する手続きの活用などもアドバイスできれば退職される従業員さんから感謝されるのではないでしょうか。退職される理由はさまざまかとは思いますが「ここの会社最後までちゃんと面倒見てくれたなあ」と感じてもらえたら、巡り巡って事業所さんの評価につながるかもしれません。

~最後までお読みいただきありがとうございました~